【No,132】お金2.0 新しい経済のルールと生き方

お金は価値媒介の道具に過ぎず、その価値は下がってゆく。
AIの発展により人間は働く必要がなくなる。
劇的に変化しているこの世界において、どう生きるべきか。

かーなり面白かったのでおすすめ。

「お金」の価値が低くなってゆく

「お金」自体の価値はなくなり、
「信頼」や「時間」などの価値が上がる。

現在も知識は検索すれば誰にでもすぐに手に入ります。
むしろその情報をどのように使いこなすかという活用法が重要になっています。

同様に、 お金そのものには価値がなくなっていき、むしろどのように経済圏を作って回していくかというノウハウこそが重要な時代に変わっていくと考えています。

資金調達が容易な環境にあるため、相対的にお金の価値そのものが下がり続けています。
逆に、増やすことが難しい、信頼や時間や個性のようなお金では買えないものの価値が、相対的に上がってきているとも言えます。

お金は価値を媒介する一つの道具に過ぎない

ITなどの新しいテクノロジーが生まれると人間が作った概念は変化を余儀なくされます。
それまで文字の記録手段として主流だったのは紙ですが、ITの発達で文字を電子的に記録して自由に発信できるようになったので、紙は記録手段の1つの選択肢になりました。

別の見方をすれば、紙はITの誕生でその影響力を大きく下げたとも言えます。
同様に、ITは価値のやりとりも電子的にやってくれる技術ですから、既存の「お金」を価値媒介手段の1つの選択肢に変えてしまう力があります。

つまり、今起きていることは、 お金が価値を媒介する唯一の手段であったという「独占」が終わりつつあるということです。
価値を保存・交換・測定する手段は私たちがいつも使っているお金である必要はなくなっています。

価値をやりとりする手段が現在の国が発行する通貨以外でも可能になると、ユーザーは自分にとって最も便利な方法を選んで価値のやりとりをするようになります。

それが国の発行する通貨なのか、企業が発行するポイントなのか、ビットコインのような仮想通貨なのか、はたまた価値の直接交換なのかは人によって違うでしょう。

手段の多様化により人々が注力するポイントが「お金」という手段から、その根源である「価値」に変わることは予想できます。
価値を最大化しておけば、色々な方法で好きなタイミングで他の価値と交換できるようになっていきます。

「価値」とは商品のようなものであり、
「お金」とは商品の販売チャンネルの1つみたいなものです。

あらゆる「価値」を最大化しておけば、その価値をいつでもお金に変換することができますし、お金以外にものと交換することもできるようになります。
お金は価値を資本主義経済の中で使える形に変換したものに過ぎず、価値を媒介する1つの選択肢に過ぎません。

AIの発展により人間は労働から解放される

AIにより、多くの労働を機械が大体するようになる。

モチベーションの源泉が「お金を稼ぐこと」ではなくなり、生き方が変わる。

AIなどのテクノロジーが急速に発達していき、大半の労働は価値を失います。
人間がやるよりも機械がやるほうがはるかに安価で効率的であるからです。
そうなると大半の人が失業してしまうことになります。

そこで、ベーシックインカムの導入などを考える国が増えてくるでしょう。
ベーシックインカムとは、生活するための必要最低限の生活コストを国民全員に支給する仕組みです。
日本や欧州の生活保護のような社会保障を全国民に適用したものです。
もしくは、巨大企業が公共サービスに近いものをほぼ無償で提供するなどして、生活コストを大幅に下げるという、企業による無償提供という意味でのベーシックインカムも考えられます。

これまで書いてきた通り先進国では必要最低限の生活をできる人が増えたために、物欲はどんどんなくなっていますし、お金以外のやりがいや意義を求める人が確実に増えています。

ここからさらにベーシックインカムによって働かなくても生きていけるという状態を全員が享受できるようになったら、私たちにとってお金はどのような存在になるでしょうか。
少し想像を広げてみましょう。

お金のために嫌な仕事をする必要もない。
労働からもお金からも解放された状態になります。
当然ですが、お金の相対的な価値はさらに下がります。

現在はお金には人を動かす力がありますが、生活するためにお金を稼ぐ必要のなくなった人からすれば、お金はもっとあったら便利なものであり、なければならないものではなくなっているはずです。

なので、お金からは人の行動を変える魅力は失われます。
現在の経済では最も強力なお金を稼ぎたいという欲望(金銭欲)が、報酬として機能しなくなることが想像できます。
そうなってくると、 ベーシックインカム導入後の人間は、今私たちが知っている人間とは全く別の生き方をするようになっているかもしれません。

現代の多くの意思決定の背後には儲かるかどうかという視点が深く関わっています。
就職する場合に人気の企業は給料が高く潰れない企業です。
そしてそういった会社に就職するためには偏差値の高い大学の卒業生であることが求められます。
また、結婚相手の条件は、年収が重要視されます。
生きていくこと=お金を稼ぐことというのが常識だからです。

けれど、ベーシックインカムが普及したらその常識は間違いなく崩れます。
働いてお金を稼がなくても生きていくことができるとしたら、お金を大量に持っていても今ほど羨ましいと思われることもなくなります。
そうするとお金を稼げることが大きな強みではなくなってしまい、お金を稼ぐ能力も今ほどの価値はなくなります。

大半の労働は機械によって自動化され、人間はお金や労働から解放されます。
人間は生きていくために働くことも、お金を稼ぐことも必要なくなります。

ベーシックインカムや巨大企業による生活インフラの無償化、トークンエコノミーなどの多層な経済のおかげで、万人が必要最低限の生活ができるような状況にはなっていくでしょう。

「ひいじいちゃんの時代には1週間のうちのほとんどをやりたくもない仕事をしていたらしいよ、かわいそうだね」と、私たちの孫ぐらいの世代は話していそうです。

それはまさに現代人が身分制度に縛られていた江戸時代の市民を見る目に近い

 独自性や熱量を持って取り組めることが価値になる

「独自性」「個性」「熱量」「好き」「没頭できる」が価値に繋がる。

内面的な価値が経済を動かすようになると、そこでの成功ルールはこれまでとは全く違うものになり得ます。

金銭的なリターンを第一に考えるほど儲からなくなり、何かに熱中している人ほど結果的に利益を得られるようになります。
つまり、これまでと真逆のことが起こります

仮想通貨やトークンエコノミーの普及によって、こういった目に見えない価値もネットを経由して一瞬で送れるような仕組みが整いつつあります。

ものやサービスが飽和して使用価値を発揮するのがどんどん難しくなり、 多くのミレニアル世代が人生の意義のようなものを探している世界では、内面的な欲望を満たす価値を提供できる人が成功しやすくなります。

この世界で活躍するためには、他人に伝えられるほどの熱量を持って取り組めることを探すことが、実は最も近道と言えます。

そして、そこでは世の中の需要だったり、他の人の背中を追う意味は薄くなります。
なぜなら、内面的な価値ではオリジナリティ、独自性や個性が最も重要だからです。

その人でなければいけない、この人だからこそできる、といった独自性がそのまま価値に繫がりやすいです。

内面的な価値がますます重要になってくると、そこでは自分の情熱がどこにあるかをしっかりと把握して深掘りできる人に大きなアドバンテージがあります。

それに加えて、他人の情熱を刺激して「サビ」を吹き飛ばしてくれるような人は大きな価値を発揮することになるでしょう。
誰かの作った枠組みの中で動くのではなく、自分との対話を通して、自分自身が何に熱狂できるかを追求することが必要な時代になります。

価値主義の世界では就職や転職に対する考え方も大きく変わってきます。 ざっくり言ってしまうと、この先は「自分の価値を高めておけば何とでもなる」世界が実現しつつあるからです。

従来の働き方では、どの会社が自分のことを最も高く買ってくれるか、どの会社であれば潰れなくて安定していそうかを考えて、就職先・転職先を選んでいました。

ただ、前述した通り、個人が自分の価値を収益に換えて生きていける環境はもはや整備されつつあり、 本当に価値を提供できる人は会社に属して働く必然性が消えてきています。

むしろ彼らにとっては、会社とは自分の価値を発揮する、たくさんあるうちの1つのチャンネルになっていきます。

間違いなく個人の収入源が1つの会社に依存しているという状況は変わっていき、個人はパラレルキャリアで複数の収入源を使い分けていくことになるでしょう。

そこで重要なのは「個人の価値」です。
個人の価値さえ高めておけば、それをお金に変換することもできますし、お金以外の他の価値にも変換することができます。

ここで言う価値とは、
① スキル・経験のような実用性としての価値、
② 共感や好意のような内面的な価値、
③ 信頼・人脈のような繫がりとしての社会的な価値

今後発展する経済システム

持続的かつ自動的に発展していくような「経済システム」にはどんな要素があるかを調べていった結果、5つほど共通点があることに気がつきました。  ① インセンティブ、 ② リアルタイム、 ③ 不確実性、 ④ ヒエラルキー、 ⑤ コミュニケーション、の5つです。

今後、情報伝達がここまで速くなった世界では模倣は簡単です。
目新しいと思われたアイディアも一瞬でコピーされます。

ただ、強いロイヤルティカスタマーに支えられた経済システムは一朝一夕でコピーできるものではありませんし、コピーしたとしても同じものを作ることはできません。
製品やアイディアで勝負する時代から、ユーザーや顧客も巻き込んだ経済システム全体で競争する時代に変わってきています。

 まとめ

「お金の価値が低くなる」「AIの台頭により人間が労働から解放される」
色々な書籍や記事で目にする未来だが、
そこから一歩踏み込んで具体的に書かれていたので、とっても面白かった。

世界は変化している。
ということを改めて実感。

価値ある個人として今後どのような人生を歩むか、
改めて考えるきっかけをいただいた。

少しの実績もあり、熱量を持って取り組める、
自分にとってのそれは「旅」と「筋トレ」。

読書時間:60分
まとめ:20分