激変する世界で君だけの未来をつくる4つのルール

今はインターネットによって、人生の記録が残っていく時代です。その人がこれまでの人生をどう生きて、どんな言葉を語り、どんなふうに振る舞ってきたのか。今語っている言葉は本心なのかウソなのか。簡単に見分けられるようになりました。そんな隠しごとの通用しない時代、「相手が本当はどういう思いを持っているのか」がわかるからこそ、僕たちはその思いに共感したり、惹かれたりするのです。

こういった「その人にしか実現できない」「本当の思い」というのは、とても大事な観点です。英語ではこれを「オーセンティック(authentic)」と呼びます。辞書では「本物の」とか「頼できる」という意味ですが、丁寧な言葉で説明するとすれば「この人はこういう場所からきて、こんな道を歩いてきたのだから、これからもずっとこんな道を歩んでいくにちがいない。そうじられる」ということになります。

今、人びとはオーセンティックなもの(=その人らしいもの)に価値を見いだしています。なぜなら、役に立つモノではなく、”意味”を買っているから。「その人(モノ・企業)に賛同することが自分にとって気持ちがいい」という”意味”があるから、お金を払うのです。

 

どうすれば普通の人々が高水準の努力を持続できるのか。ここに問題の焦点がある。

これに対する僕の答えは、「無努力主義」。これを年来の仕事の原則にしている。僕のこれまでの経験でいえば、「努力しなきゃ..••・・」と思ったことで、仕事として上手くいったことはただの一度もない。「努力しなきゃ…・・・」と思った時点で、そもそも向いていないのである。

ポイントは、それが「努力」かどうかは当事者の主観的認知の問題だということだ。だとしたら、「本人がそれを努力だとは思っていない」、この状態に持ち込むしかない・これが試行錯誤の末に行き着いた結論である。すなわち「努力の娯楽化」。客観的に見れば大変な努力投入を続けている。しかし当の本人はそれが理屈抜きに好きなので、主観的にはまったく努力だとは思っていない。これが最強の状態だ。

楠木建『すべては「好き嫌い」から始まる』(文藝春秋)