というのも、お客さまが興味を示し、反応してくれるのは、商品の特徴がもたらすお客さまへの利益に関する話なのです。
この特徴がもたらす利益をはっきりさせるために必要なのは、「だから何やねん」と商品に突っ込んでいくことです。
ですから、一度の商談で伝えるべき特徴は1つに絞ることが重要です。
そして、その特徴がもたらす利益をいかに深堀りできるか、広げられるかを意識してください。
この提案営業を行うためには、まずお客さまから5つの〝不〟を引き出さなければなりません。
この5つの〝不〟とは、お客さまが現状に感じている問題点のことで、
不満を感じていないか?
不安を覚えていないか?
不快に思っていないか?
不便と困っていないか?
不経済と悩んでいないか?
という5つの問題点を指します。そして、この5つの不を引き出した上で、その不を取り除くのが自社の商品・サービスであると提案するのが、提案営業の勝ちパターンなのです。
このようにとても重要な5つの不ですが、お客さまからなかなか聞きだせないことがよくあります。
このような場合は、
「現在の状況に何か不都合な点がおありでしょうか?」
というマジックワードを投げかけるのも効果的です。
この言葉を投げかければ、お客さまが勝手に5つの不に変換してしゃべってくれます。
これは営業でも同じです。訪問件数をこなせばこなすほど、様々なお客さまに会う数は増え、失敗や成功を繰り返す回数も増えていきます。
そして、この失敗と成功の積み重ねが、営業マンを成長させ、〝質〟を生み出すのです。
「現場百回」と言われるように、マーケットにしか質を高めるヒントは眠っていないのです。
商品を購入するお客さまには、「理解」→「納得」→「感動」→「感謝」という4つのプロセスがあります。
〝確信〟とは単純に言えば、自分が売る商品が好きでたまらないという気持ちです。
自分の商品を好きだと思えるならば、自信を持ってお客さまに商品を売り込むことができますし、商品を売ったあとの満足感も大きいでしょう。
また、商品が好きだという気持ちは自然とお客さまにも伝わりますので、商品を売りやすくなります。
営業マンは、自分のイメージをただの御用聞き「営業マン」と思うのではなく、自分の理想とする営業マンのイメージをしっかりと描き、そのイメージに沿った行動をとることが大切なのです。
さしみの法則とは、マーケットの確率論で、BtoBであれ、BtoCであれ、どんな業界・業種のマーケットにも、
(さ)→30%の絶対に買わないお客さま
(し)→40%の営業マンのスキルやタイミングによって買うか、買わないかが変わるお客さま
(み)→ 30%の必ず買ってくれるお客さま がいるという法則です。
お客さまの問題点もかなり深く把握している状態、ここまで来れば徹底的に利益を話材にすべきです。そのためにもまず、これまでの商談の流れを整理し、お客さまの〝あるべき姿〟をある程度予想しておくことが重要です。
お客さまの問題が解決した状態、これがお客さまのあるべき姿です。
このあるべき姿になったときに、お客さまにはどのようなメリットが生まれるのか、そのメリットは会社・部署・社員にどのようないい影響を及ぼすのか、この辺のことを十分にイメージトレーニングしておきましょう。
例えば、自社のサービスが訪問先の会社の経費を削減できるとします。この「経費削減」という利益に、鉄則3で登場した「だから何やねん」を繰り返していきます。
すると、「経費を削減できる」→「だから、新しい設備をつくることができる」→「だから、社員の士気が上がる」→「だから、社員の定着率が上がる」→「だから、新卒を採用する予算ができる」という展開をつくることができます。
この展開イメージを話すことに加え、経費の削減額の詳細など具体的な数字を用意できれば、お客さまはさらに興味を持ってくれるでしょう。
また、訪問先の会社のためにオリジナル資料を作成することも大切です。
訪問先の会社名を随所に盛り込んだり、具体的な数字をグラフにして掲載したりしている資料を持参してみてください。
そうすれば、よりクロージングに近づくことができます。
あるべき姿を「だから何やねん」で先読みしていき、それを話材にすること。
そして、あるべき姿をより効果的にアピールできる方法を考えること。
これが訪問終盤戦の準備のコツです。
営業マンが仮説を立てるということは、事前準備によって集めたお客さまの情報から、お客さまの現状・課題・ニーズは何なのだろうか? それは自社の商品によってどのように解決できるだろうか? ということをあらかじめ考えておくということを意味します。
つまり、お客さまが持っているであろう課題を考え、その課題を自社の商品で解決するまでのプロセスをイメージしておくということです。
仮説を立てずにお客さまを訪問すると、商談が〝でたとこ勝負〟になってしまいます。するとその商談は、お客さまの話を漠然と聞くばかりになり、シャープな商談を展開することができなくなってしまいます。
これは営業効率の低下であり、貴重な商談の時間をムダにしています。
商品の特徴だけを語る営業マンは二流です。
お客さまの利益を語って一流、
お客さまに利益を語らせることができれば超一流です。
天秤に載せるべき付加価値には3種類あります。
すなわち、 商品の付加価値 会社の付加価値 自分自身の付加価値の3つです。商品の付加価値とは、例えば、「ウチの商品は高齢の方でもすぐ使える」「会社の通信コストを20%以上削減できる」など、商品そのものの付加価値です。
会社が持っている付加価値とは、ウチの会社は「フリーダイヤルで24時間対応している」「財務状況が良好で、親会社も大きいので潰れない」など、会社の付加価値です。
自分に備わった付加価値とは、「自分はフットワークがいいので、すぐにお客さまに対応できる」「マメなアフターフォローによって、お客さまに安心感を与えている」など、営業マンである自分の付加価値です。
このような付加価値をお客さまの利益にまで落とし込み、しっかりと伝えることができれば商品の価値の皿を重くすることができ、値引きすることなく商品を買ってもらえます。