人生の三分の一を占める睡眠。
その「睡眠の質を極限まで高めたい」という思いから読んだのがこの本。
「スタンフォード式 最高の睡眠」
睡眠の研究で世界トップを走るのが、アメリカのスタンフォード大学。
そのスタンフォード大学の睡眠研究機関の所長が、著者である西野氏。
自分はよく眠れる方ですが、
その睡眠の質を更に高めるために読みました。
この本の中で、著者は一貫して、
「最高の睡眠を手に入れるためには、眠り始めの90分の質をいかに高めるかが重要」であると述べています。
その具体的な方法が書かれているのが本書。
スタンフォード式最高の睡眠 メモ
「あなたの睡眠を、あなた史上最高にする」方法をお伝えするのが本書のねらいだ。
仕事を含めた日中のパフォーマンスは、睡眠にかかっている。
夜な夜な訪れる人生の三分の一の睡眠が、残りの三分の二も決めるのだ。
フランスの平均睡眠時間は8・7時間。
アメリカの平均睡眠時間は7・5時間。
日本の平均睡眠時間は6・5時間。
その鍵が、本書でお伝えする「90分の黄金法則」だ。
レム・ノンレムの周期にかかわらず、睡眠の質は、眠り始めの90分で決まる。
「最初の90分」さえ質が良ければ、残りの睡眠も比例して良質になるのだ。逆に最初の睡眠でつまずいてしまうと、どれだけ長く寝ても自律神経は乱れ、日中の活動を支えるホルモンの分泌にも狂いが生じる。
どんなに忙しくて時間がなくても、「最初の90分」をしっかり深く眠ることができれば、最高の睡眠がとれるといっていい。
ノンレム睡眠中と食後は、副交感神経が優位だ。
心臓の働きや呼吸がゆるやかになる。食後は胃腸の働きが活発になり、消化と排泄が促される。
眠り始めのもっとも深いノンレム睡眠が出現する黄金の90分で、しっかりと副交感神経優位に転換し、脳と体を休ませることが、最高の睡眠の第一ミッションである。
ちなみに、なぜ「明け方の夢」は覚えているのだろう。
明け方見る夢それ自体に、何か意味はあるのだろうか?おそらく、「覚醒直前のレム睡眠時に見る夢」には「起きる準備」という役割があると考えられる。
これは「なぜ夢を見るのか?」ということにもつながると思うが、寝ぼけを回避するために、定期的にレム睡眠で大脳を活性化させて交感神経を優位にし、「目覚め」とそこから続く「覚醒活動」の準備を担っているためと思われる。
こう考えると、明け方に近づくほど「合理的な夢を見る」レム睡眠が長くなるのも理にかなっている。
「最初の眠気のタイミングを絶対に逃してはいけない。
眠くなったらとにかく寝てしまわないと、その後、深い眠りは訪れず、いくら長く寝てもいい睡眠にはならない」
深部体温は日中高くて夜間低いが、手足の温度(以下、皮膚温度)はそのまったく逆で、昼に低くて夜間高い。
覚醒時には、通常深部体温のほうが皮膚温度より2℃ほど高い。
皮膚温度が34・5℃の人であれば、起きているときの深部体温は36・5℃ということだ。健康な人の場合、入眠前には手足が温かくなる。
皮膚温度が上がって熱を放散し、深部体温を下げているのだ。
このとき、皮膚温度と深部体温の差は2℃以下に縮まっている。つまり、スムーズな入眠に際しては深部体温と皮膚温度の差が縮まっていることが鍵なのだ。
入眠時には深部体温を下げ、皮膚温度は上げて差を縮める。
これが黄金の90分を手に入れる1つ目のスイッチの入れ方だ。
0・5℃上がった深部体温が元に戻るまでの所要時間は90分。
入浴前よりさらに下がっていくのはそれからだ。
つまり、寝る90分前に入浴をすませておけば、その後さらに深部体温が下がっていき、皮膚温度との差も縮まり、スムーズに入眠できるということだ。
「退屈」は普段はあまり歓迎されないが、睡眠にとっては「良き友」である。
退屈さによって脳のスイッチがオフになり、深い眠りがやってくるのだから。
睡眠圧に対抗するシステムは、入眠直前に最高に強くなり、その後急速に活動が弱まって脳が睡眠モードになることが予想される。
「今日は1時間早く寝よう」というのは、よくあることだ。
「明日は朝早く出かける」「出張だ」というときは早めに寝たい。
また、「積み残した仕事を早起きしてやりたい」ときもあるだろう。だが、「1時間早く寝る」というのは睡眠禁止ゾーンへの侵入だから、かなり難しい。
逆に、フォビドンゾーン現象を理解しているのであれば、「いつもどおり寝て、睡眠時間を1時間削る」ほうが、すんなり眠れて質が確保できる可能性が高い。
これほど大切な光は、窓を開けるだけで簡単に手に入る。
朝は太陽の光を必ず浴びる習慣をつけよう。
数分程度の少しの時間でいいし、雨や曇りで太陽が見えなくても、体内リズムや覚醒に影響を与える光の成分は脳に届いているから大丈夫だ。
ベッドから出たら、天気にかかわらず朝の光を浴びる。
これは何があっても欠かしたくない行動習慣だ。
ごくシンプルだが、効果はとてつもなく大きい。
この性質を生かして、朝は感覚を刺激し、すっきりと覚醒しよう。
家の中ではスリッパを履いている人が多いと思うが、起き抜けはあえて裸足にしてみるといい。これは単純だが2つの効果が期待できる。
1つは床にじかに触れることで皮膚感覚を刺激して、上行性網様体を活性化させること。
もう1つは、裸足で皮膚温度を下げ、サーカディアンリズムで自然に上がっている深部体温と皮膚温度の差をさらに広げること。
「皮膚温度と深部体温の差が縮まると眠くなる」という性質を逆手にとるのだ。
とくに冬場には、今まで避けていた洗面台回りやキッチンの「冷たい床」が覚醒のスイッチとなってくれるので、ぜひ一度試してほしい。
頭を使う仕事、重要な仕事はできるだけ午前中に集中したほうが賢明だ。
ランチの時間の後は、徐々にイージーモードの仕事にシフトしていく。
眠りに向けて、脳を少しずつリラックスさせていくためだ。
軽いミーティングはリフレッシュになるので、昼食後に向く。また、論文に参考文献をつけたり、調べ物をするといった「手間はかかるがあまり思考を必要としない仕事」は午後におこなう。
坂道をゆるやかに下るように、自分なりのペース配分をし、パターン化していこう。
ランチは軽めで、ヘビーミールを避ければ、午後の倦怠感防止に役立つはずだ。
また、食べるときも、4章でお伝えしたように「嚙む」ことを意識してほしい。
たくさんある覚醒のスイッチを、仕事中にオンにするには、いろいろなやり方がある。たとえば、「ガム」だ。