【vol.028】リーダーシップ,リーダーシップとマネジメントの3つの違い

旅から帰還し、結果としてリーダーになる

英雄が旅にでるのではなく旅に出てから英雄になるのと同様に、リーダーは旅に出るまで、実際に行動するまではリーダーではない。 リーダーとは、フォロワーを導く人ではなく、振り返ると人がついてくる人のこと。 つまり、リーダシップはフォロワーを前提とするのではなく、フォロワーを生み出すプロセス。 重要なのは、フォロワーが命令による強制や報酬のためでなく、自律的に自ら進んで旅をともにするという点。 喜んで自らついてくるフォロワーが、リーダーの行動を承認することによって生じる帰属がリーダーシップ。

自分をリードする→人々をリードする→社会をリードする

深く暗い森の中にある村で暮らすあなたには、何か抑えきれない気持ちがある。遠く目を凝らすと、沼と森の果てに、ほのかな光が見えるような気がするのだ。森の向こう側には、豊かな草原と青い空が広がっているのではないか。もし、そこに住むことができれば、どんなにすばらしいだろう。青い空の下に広がる草原で寝っ転がる自分を想像しただけで心が弾む。青い空を自分の目で見たい。年老いた両親にもぜひ見せてやりたい。そう思って、あなたは沼に一歩を踏み入れる。水は冷たく、よどむ沼がその深さを隠し、周囲の闇が身体を包む。不安や恐怖が頭をかすめ、思わず身がすくむが、それでも、沼を渡り森を抜けたい、青い空を見たい見せてやりたい、と思う気持ちがあなたに歩みを続けさせる。これが自分をリードするというリード・ザ・セルフだ。

リード・ザ・セルフを駆り立てるものは夢や大望、情熱ばかりではなく、焦燥感、野心、自分自身に規律をはめるプロフェッショナリズムの場合もある。 いずれの場合もリード・ザ・セルフの力の源になるのは、何のために行動するのか、何のために生きるのかについての自分なりの納得感のある答え。   リーダーシップの本質は、リード・ザ・セルフによって行動する際に発するエネルギーにある。「背中を見てついていく」「言葉ではなく背中で語る」といった言い回しがあるように、時にはリスクを冒してまで行動しようとする人の背中に、フォロワーはエネルギーを感じ、自発的についていこうと思う。 リーダーはリーダーシップの旅を歩む中で、フォロワーの共感を呼び起こす。自分の夢が周囲の人たちに伝播し、やがてその夢は彼らの夢となる。周囲のみんなが、リーダーが見る「見えないもの」を見ようとして、自発的に動き始める。

リーダーシップとマネジメントの3つの違い

  1. 「見える」か「見えない」か。 リーダーは「見えない」ものを見て、あるいは見ようとして新しい世界をつくり出す。 マネジャーは「見えるもの」を分析し、それらに受動的もしくは能動的に対応しながら漸進的に問題を解決していく。
  2. 「人としての働きかけ」か「地位に基づく働きかけ」か リーダーは人々の価値観や感情に訴え、共感、共鳴を得る。 マネジャーは、組織の成員に対して、地位に基づく権威、権限を持って働きかける。
  3. 「シンクロ(同期化)する」か「モティベート(動機づける)する」か リーダーは、人々の内在的な意欲に基づく自発的な行動を誘発し、同じ方向へと向かって歩みを共にする。 マネジャーは、人々の行動を管理(コントロール)し、ある方向へと向かわせようとする。

「人生を後悔するという最大のリスク」印象に残った言葉。

リーダーシップの旅  見えないものを見る (光文社新書)

リーダーシップの旅 見えないものを見る (光文社新書)