建築家、嶋田洋平さんの「ぼくらのリノベーションまちづくり」という本を読んだので、メモとして書く。
かなり面白くて勉強になる本だった。
「俺もこんなことやりたいな」と感じた。
リノベーション、地域活性、まちづくり、不動産、に興味がある人にはおすすめの本です。
「貨幣経済も国の制度も、そもそもフィクション、幻想だろ。
お金という実態のないものを使って成り立っているんだから、世の中はほとんどフィクションなんだ。建築だってそうだ。世の中の制度や法律はいつガラガラと崩壊して変わってしまうか分からない。
全部フィクションなんだから、好きなことを、いつでもポジティブにやればいい。」
これからの時代に建築家はどうあるべきか
「これから日本の人口は減り始め、日本社会はシュリンク(縮退)していく。
使われない建物が増えていく時代に、建築家として”建てる”ことを仕事にし続けるとは一体どういうことなのか、問いたい」
コミュニティデザイナー山崎亮さんの言葉。
「建築家」として これからの社会で求められるためには、その職能を広げていった方がいい、とぼくは思う。
その時に必要になるのは、モノのデザインだけでなくコトのデザインだ。モノのデザインだけをしていればいい時代は終わった。
それより重要なのはコトを起こしながら共感できる人たちを巻き込み、建物を取り巻くいい関係を生み出していく力だと思う。そこでは必ずしも作家性やオリジナリティは重要ではない。
すでに世の中にいいものが出ているのなら、それを真似すればいい。
むしろそれらを組み合わせ、ブラッシュアップし、本家を凌駕するレベルで真似することの方が大事だ。何も自分一人だけで、世界を変えようとしなくたっていいのだ。
これからの建築家は、事業に対してリスクを取り、自分がデザインしたり関わったりしたプロジェクトが生み出した「利益」に応じてお金をもらう方がいい。
儲かったら儲かっただけ、たくさんお金をもらえるようにする。
そうなればクライアントと利害が対立せず、同じ方向に向かって一緒に頑張れるはずだ。それは建築家自身を含め、建物と人との関わり方、そして建物を取り巻く人と人の関係性をデザインし直すことでもあると思う。
リノベーション「Re-inovation」とは新たな価値やアイデアを創造し直すこと
建物の場合は、既存の建物を活かしながら、その価値を新たに創造し直すことがリノベーション。
具体的には、建物の「使われ方(用途)」や「使う人(入居者、利用者)」を変えることによって空間を新しく生まれ変わらせることを指すことが多い。
事業を行う建物の設計は、成果型の報酬にすればいいんじゃないか
建築家自身が工事費を一部負担していたり、売上に応じて報酬が変わるとしたら、成果型報酬にすれば、「設計料は工事費の○○%」という慣例による弊害は無くなるのでは。
「モノのデザイン」以上に仕組みのデザイン、関係性のデザイン、プロセスのデザイン、できごとのデザインといった、「コトのデザイン」が、これからの建築家の仕事だ
まちで何かコトを起こしたい・新しいものを生み出したいという「芽」は、実はまちにたくさん眠っている。
それらを守り育てる場をつくることで、新たな人のにぎわいが生まれ、人の仕事も生まれる。その仕事が、また人を育てる。
「産業」といっては大げさかもしれないが、リノベーションはそんなよい循環が生まれるきっかけをつくることができるのではないか
不動産の価値はエリアの価値
人は不動産を選ぶとき、まずエリアを選ぶ。
エリアの価値が高ければ、不動産の価値も高くなる。
だからこそ、エリアの価値をどうやって高めていくか、ということがすごく大事なのだ。その時に、放置された空き家は明らかにエリアの価値を下げる。
それはつまるところ、そのエリアの個々の不動産の価値も下げてしまう。価値を下げるというのは、誰も住みたくないし働きたくもないまち、楽しくないまちになってしまうということだ。
これまで全国各地で地方自治体が主導してきた中心市街地活性化事業というのは、多額の補助金を使って巨大な再開発ビルを建てるとか、イベントを開催するといったものが多かった。
まちの”商業を再生しようとする”それらの手法はあまり効果を上げていない。
商業によって外から人を呼び込むよりも、住む場所(例えば若い人でも住める家賃が高くない住宅)や働く場所(たとえば若い人でも起業できる家賃が高くない事務所)、そして新しい仕事をつくることで、人が住んで、働いて、遊べるまちにする視点が必要なのではないか
リノベーションまちづくりの事業化プロセス
- 対象物件を見つける
- 不動産オーナーに許可をもらう
- 建物の調査をする
- エリアの調査をする
- 事業プランを考える
- 不動産オーナーに提案する
- チームをつくり、資金を調達する
- 設計し、工事をする
- プロモーションや運営方法を考える
- 運営が始まる
2016年16冊目。